循環器領域の医療機器を製造販売しているBIOTRONIK社は、フランス、パリで行われたEuroPCR 2015で、業界初のハイブリッド薬剤溶出ステント (DES) Orsiroについての新しいデータが発表されたことを報告しました。オールカマーデザインによるSORT OUT VII試験の1年までの結果により、Orsiro DESが、生体吸収性ポリマーバイオリムス溶出Nobori DESに対して非劣性であることが確認されました。Orsiro DES群の患者では、冠動脈インターベンション後の潜在的な危険有害事象であるステント血栓症の割合が有意に低く、その値は、Nobori DES群で1.2%に対して、Orsiro DES群では0.4%でした (p=0.03)。
EuroPCRのホットラインセッションにおいて、SORT OUT VII試験の責任医師であるデンマーク、オーデンセ大学病院のリゼット・オケルス・イェンセン博士は、インベスティゲイター主導の多施設2群間無作為化非劣性試験のデザインとエンドポイントについて語りました。SORT OUT VII試験は、ultra thin strut(非常に薄いステント材質)のシロリムス溶出Orsiro DES[登録患者数:1,261名]とバイオリムス溶出Nobori DES [登録患者数:1,264名]の冠動脈病変における治療成績を比較したものであり、主要エンドポイントである1年経過時の標的病変不全 (TLF: 1年以内の心臓死、心筋梗塞、標的病変血行再建の複合結果として定義) は、Orsiro DES群では3.8%、Nobori DES群では4.6%の発現率で非劣性を証明しました (p-value for non-inferiority < 0.0001)。
また、このEuroPCRのホットラインセッションでは、医師たちによりOrsiro DESの更なる安全性と低いステント血栓症発生率の潜在的な可能性について次のように話し合われました。Orsiro DES独自のultra-thin strutのステントデザインは、厚みのあるstrutデザインのステントと比較して血管走行に対するより優れた柔軟性を実現しており、また、血管壁への密着度合いが改善され、経皮的冠動脈インターベンション後の内皮組織がより早期に形成される可能性があります。
「Orsiro DESが、その他の生体吸収ポリマーのDESと異なる点は、非常に薄いストラット、よりコントロールされた薬剤溶出など複数あります。」と、イェンセン博士は述べました。「SORT OUT VII試験でのステント血栓症のリスクが大幅に下がったことが見られるように、このような点がOrsiro DESの有害事象の発生率を低く抑えている可能性があります。」
「このように非常に勇気づけられる試験結果と、他の大規模試験で、医学誌ランセットに掲載されたBIOSCIENCE trial(Orsiro DESとXience Prime DESの比較試験)の結果からも、Orsiro DESの性能が最高クラスのものであることが再認識されました。」と、BIOTRONIK社、血管インターベンションのプレジデントであるダニエル・ビューラー博士は述べました。「Orsiro DESは、この大規模試験の結果を受け、優れた効果と安全性を再び証明できました。Orsiro DESの進化したultra-thin strutデザインと際立った薬剤伝達性はこれからも人々をうならせ続けると確信しております。」
Orsiro DESについて
Orsiroハイブリッド薬剤溶出ステント (DES) は、2011年に発売を開始したBIOTRONIK社の最新ステントテクノロジーによるものです。この技術は、パッシブコンポーネントとアクティブコンポーネントを結合する独自のハイブリッドソリューションです。proBIOパッシブコーティングでステントに被膜し、金属ステントと周辺組織の炎症反応を最小化します。その上層にある生体吸収性のBIOluteアクティブコーティングは、高い生体適合性を持ちリムス薬剤を血管組織へ溶出させます。このハイブリッド構造は、高性能のPRO-Kinetic Energyステントプラットフォームにコーティングされており、進化した非常に薄いストラットデザインと際立った薬剤溶出を可能にしています。